皆さんは病院にかかるときに、選定療養について考えたことがありますか?今回は、特に薬局における選定療養費制度についてみなさんと考えていきたいと思います。
まず、選定療養費制度とは?
「選定療養とは、保険外併用療養のうち、将来的な保険導入を前提としないもので、患者の選択により特別の料金を支払うことで保険外の診療と保険診療を併用するもの」のことです。https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryouhoken/sensiniryo/index_00007.html (厚生労働省のHPより)
将来的な保険導入という言葉が難解だと思います。それを理解するには、保険外療養費制度について大枠を知っている必要があります。
保険外療養費制度というのは以下の3つに大別されます。
・評価療養
・患者申出療養
・選定療養
上の二つは、将来の医薬品として認められ、保険導入が期待される治療を行う際に適用されます。例えば治験(新しい医薬品を患者さんが実際に使ってみる)です。なので、保険導入の文言が入っているのですね。
薬局における選定療養費制度について
では、薬局においての選定療養費制度とは何なの?との質問にお答えいたしましょう。
「令和6年10月から後発医薬品(ジェネリック医薬品)があるお薬で、先発医薬品の処方を希望される場合は、特別の料金をお支払いいただきます。」ということです。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_39830.html (厚生労働省のHPより)これは患者さん向けの説明であって、深く知るには以下の文章を見なければなりません。
「長期収載品の処方等又は調剤をする場合は、医療上の必要がある場合等を除き通常の一部負担金(1~3割)に加え、特別の料金を徴収していただきます。」(医療機関・薬局向け)

厚生労働省HPより
つまり、簡単に申し上げると、患者が先発品を希望したら、普段の料金+αを支払わなくてはならないのです。国や地方単独の公費負担制度により一部負担金の助成を受けている患者も対象ですので、18歳までの患者も対象となります。なので薬局では、家族が以前は子供の薬をもらうだけでしたが、同じ薬のほうが安心であると先発品を希望したばかりに、追加料金を求められる場面がしばしばあったわけです。
先発品をもらっても、選定療養費がかからない場合は??
これが、多くの人が気になるところなのではないかと思います。答えを搔い摘んで述べますと、
・ジェネリック医薬品に先発品と同じ効能・効果がない(適応症が違う)
・ジェネリック医薬品を使用して、副作用があった。治療効果に違いがあった
・学会のガイドラインでジェネリック医薬品に切り替えないことが推奨されている
ジェネリック医薬品では服用しにくい、吸湿性により一包化ができない(薬剤師の判断による)
・薬局にジェネリック医薬品の在庫がなく、先発品しかない。

第100回薬剤師国家試験 問320-321より引用
このように処方箋の医薬品の名称の横に変更不可の☑が記載されます。
医師は、基本的に副作用・治療効果の差異で変更不可をしていることが多いです。例えば、モーラステープのほうが、そのジェネリックのケトプロフェンテープより剝がれにくいといった具合です。
長期収載品と先発品との違いは??
先ほど医療機関向けの説明で、「長期収載品の処方等又は調剤をする場合は、医療上の必要がある場合等を除き通常の一部負担金(1~3割)に加え、特別の料金を徴収していただきます。」と述べました。
長期収載品とはいったい何なのでしょうか??以下に全て該当するものです。
(1)後発医薬品のある先発医薬品(いわゆる「準先発品」を含む。)であること(バイオ医薬品を除く)。
(2) 後発医薬品が収載された年数及び後発品置換え率の観点から、組成及び剤形区分が同一であって、次のいずれかに該当する品目であること。
① 後発医薬品が初めて薬価基準に収載されてから5年を経過した品目(後発品置換え率が1%未満のものは除く。)
② 後発医薬品が初めて薬価基準に収載されてから5年を経過しない品目のうち、後発品置換え率が50%以上のもの
(3) 長期収載品の薬価が、後発医薬品のうち最も薬価が高いものの薬価を超えていること。この薬価の比較にあたっては、組成、規格及び剤形ごとに判断するものであること。
簡潔に言うと、ジェネリックが存在する先発品で、ジェネリックが発売されてから5年経過するか、もしくは5年未満でも沢山流通していて、先発品よりジェネリックが高い先発品ということです。
なので、先発品の中に長期収載品があるというイメージです。
例を挙げましょう。
アレルギーの治療薬である、アレジオンLX点眼液0.1%のジェネリックであるエピナスチン塩酸塩LX0.1%は2024年12月より各ジェネリックメーカーが発売したので、上記の(2)に該当せず選定療養費の対象ではなかったのです(2025年はその通りで、2026年4月からは選定療養費の対象となる。ここが薬剤師が混乱するポイントである。)
https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001666911.pdf
長期収載品の処方等又は調剤に係る選定療養の対象医薬品について
令和8年3月5日 対象医薬品リスト


参天製薬HPより引用
選定療養費制度が導入されて
医療費の増大を抑制するということでこの制度が導入されましたが、知識のない患者からお金を出させるシステムであると思います。医師と懇意になれば、長期収載品の処方に変更不可を入れて患者の窓口負担額を軽減することができます。私は病院に行きたくない人間ですが、もし受診するとしたら仲のいい医師から処方してもらうはずです。薬剤師として働いていて、医師の配偶者の処方箋に全て変更不可がついていることがありました。この負担額は、現状、長期収載品とジェネリック医薬品の差額の4分の1となっていますが、これは今後3分の1、さらには2分の1に進んでいく予定です。
みなさんはこの日本の医療についてどう思いますか??

