1974年が医薬分業元年であり、そこから50年近く経過した。院内処方が院外処方に切り替わり、医療機関の門前には調剤薬局がひしめき合うように林立した。2025年度の処方箋枚数は8億5730万4704枚とコロナ禍を除いて初の減少に転じた。ここから、薬局の姿が大きく変わっていくと確信している。現在薬剤師として働いている私の考えをみなさんに共有し、今後の薬剤師・薬局のあり方を一緒に考えていければ幸いである。
儲かっていた頃の姿から脱皮できない調剤薬局
私は、薬剤師として働いている中で、医薬分業の波に乗った頃の調剤薬局の話を聞くことがある。
薬価差益(国の定めた公定価格のことを薬価という。全国統一価格である。その薬価と卸の納入価の差のことを指す)が大きかったらしい。とある医薬品を一箱購入すると、もうひと箱がおまけでついてくるといった具合だ。そして今ほど、薬歴も厳密ではなかったから、薬局のハコの中でただ薬を渡す仕事といった感じだ。MR(医薬品情報担当者)が製薬企業で経験を積んで、医師との交流を深め薬局を新規開局するケースが多かった。
※MRについて
一言でいえば、医薬品の営業マン。新薬が出たときに、色々な先生に接近し、自社の製品を宣伝して販売数を高めることが至上命題。バブル全盛期の頃は、料亭やゴルフも経費で落ちていたらしい。コロナ禍で医師との面会が禁止されていたため、MRの人員が大幅にカットされた。そのため、一人のMRが担当するエリアが拡大され、負担は増大しているものと思われる。今後も少数精鋭で維持していくことが予想される。MRは必要でなくなることはないが、今後どうなるのだろうか。
さて、2年に一回行われる調剤報酬改定では、毎回薬局にとっては、厳しい点数が設定されている。昔ほどの薬価差益は無い。処方箋1枚当たりの単価が落ちている薬局も多い。財務省は人口減少社会の中での総合的な国力の強化(財政各論Ⅰ)の中で、こう述べている。「過当競争の結果、効率的収入を求め、特定の医療機関の処方箋を集中的に調剤する門前薬局等が乱立し、結果として薬剤師の質の低下やかかりつけ薬剤師機能の脆弱、医療アクセスの偏在等に伴う患者不利益の可能性がある。」なかなか手厳しいことを言っているが、現場の人間からすると頷く部分もある。人員が足りなくて、採用したのはいいが、十分な研修・教育を行わずそのまま勤務年数を重ねた薬剤師は多いのではないかと思うからだ。このような局面を迎えているのだが、何か対策を打っている薬局はあるのだろうか。じりじりと利益が削られていくのを眺めているだけなのが実情ではないか。
薬局に襲いかかる脅威はあるか
厚生労働省は医療費削減を実行したいので、そのためにできることならなんでもする。大きな薬局に集約を進めるのが一つの大きな流れである。М&A(買収と合併)が活発化しており、小さな薬局は吸収されている。弱肉強食の世界だ。静岡でも、とある薬局の社長はまとまったお金をもらい、従業員のことを微塵も考えず薬局を売却した例を知っている。
さて、若手薬剤師はどうすればよいか
二年目薬剤師として、生き残っていく方法は何なのか。
とりあえず挙げてみる。
①語学力を磨いて、オーストラリア等の外国の薬剤師になる。
②会社の利益の向上に貢献する薬剤師になる。
③健康情報に詳しい薬剤師になり、外部に発信する。
④薬局業界を見切りをつけて、製薬業界に転職する。
⑤薬剤師としてのそれなりの水準の給与をもらいつつ、副業する。
5年後、私がどうなりたいか考える日々である。
引用文献

